詩 『南無阿弥陀仏』
『南無阿弥陀仏』
わかった
とうとうわかった
南無阿弥陀仏と唱える意味が
やっとわかった
今朝 虫が死んでいた 潰れて
気の毒だなと思って
右手で持って
草木の方に放った
右手だけの手で合掌
南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏
「唱えると安心して上に行けるらしい」
という岡山の和尚さん話でね
解った
やっと解った
《生物は死んだことがわからない》ことだ
気づくために
死んだことを気づくために
伝える言霊だ
成仏の意味がやっと
美輪明宏さんの言い方で言えば
《次元が変わる》
その次元が変わることさえ
わからないのが当たり前
大事な友達の田川さんが亡くなって
しばらくして
夢枕に立って
寝ていた 田川さんが目が醒めて
上半身を起こして
「俺死んだんか?」
と僕と誰かに聞いた
私は答えた
「そうだよ。 死んだんだよ」
友達は力が抜けて
後ろにバターンと倒れた
もしかしたら
これが成仏の合図かもしれない
わかった
やっと今わかった
墓参りの意味もわかった
こないだ
亡くなった友達の
墓参りに行くと
「ジャンボさん 、ジャンボさん、 やっと楽になったんだね……知らなかったんだよ 今来たんだよ わかる? 圭介だよ隣はナベだよ、弟さん夫婦のおかげでお墓の場所がわかったんだ。だから来たんだ。疲れたね、しんどかったね、 苦しいかったね」
と私は話し始めた
ずっと話し始めた
周り関係なく《会話》を始めた
小雨だった
「あっ」と見つけたのは
隣の友達のナベの発言だった
小さな小さなカマキリの赤ちゃん
お墓の後ろから上にあがって
「誰?」
と言いそうだった
お墓の前にいる私たちを伝えた
「圭介だよ! 隣はナベだよ! その隣が弟さん夫婦だよ! わかるでしょ!?」
墓参りとは会話である再会である
「ジャンボさん、雨がアレだからもう帰るからね、また来るからね」
そう言うと
小さなカマキリの赤ちゃんが
お墓の後ろに帰って行った
弟さんの奥さんがびっくりして
「わかるんだ!?」
魂はずっとある
と奥さんに伝えた
南無阿弥陀仏でもいい
歴史がある強い言霊を《使って》
他者から伝えて 初めて
本人の生物が
《死んだんだ》 と 気づくのだ
昨日の朝の潰れた虫
栄養になるために土に返して
虫の魂に
南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏
魂は虫の背中に乗って
虫は
リニアよりも最高速の乗り物だ
そして
雨は上がった




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