詩  『せめて言葉の楽器を』

 





『せめて言葉の楽器を』




女性はひどく悲しい表情で
何かを見ていた
しばらくして
もう一度見ると
自分の髪の毛を
左指で触っていた



高齢者男性は
抱き枕と
クッションを抱えていた
幼い子供の怯えと不安と緊張
誰にも目を合わさず



声をかけようと思った
けれど
言葉がないのだ
何度も声をかけようと
やっぱり無理なのだ



この2人にできることは
笑顔もできず
見つめることももちろんできない
ただ
思っているだけだ



個人を
世界を
結ぶ細い線
せめて私の指で線を弾かせ
言葉の楽器になればいいのにな



せめて言葉の楽器を弾きますので
あなたも楽器になってください
きっと共鳴するから






 

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